第75章

山田澪は佐藤凛の手を掴み、首を横に振った。自首に行くなと伝えたかったのだ。

佐藤凛は彼女の意図を理解したらしく、不機嫌そうに笑いながら言った。「せっかく逃げ出したのに。このチャンスを逃したら、次にここに来るのは難しくなるわよ」

山田澪は彼女の手をしっかりと握りしめ、行かせまいとした。

佐藤凛はそのの頑固な様子を見て、口を開きかけたが、何を言うべきか分からなくなった。

雨はもう上がっていて、雲の間から太陽が顔をのぞかせ、日差しがちらほらと見えていた。

しばらくして、佐藤凛はようやく笑顔を消し、山田澪をじっと見つめた。「澪ちゃん、人が死ななければ、私、北村健に感謝してたかもしれないわ。...

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